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「良い男いないかなぁ」 ポッキーの袋を開けて呟くタカ。 「おま……俺に告白しといて、それは早過ぎやしないか?」 「まぁ、ここにはシュン君しかいないわけだけどね。俺の家だし」 未だにブラウン管であるテレビにうつるのは、3Dの格闘ゲーム。コントローラーを操る指が、まるで一本一本が阿修羅の様な動きで、まぁ俺はこいつに勝てたことがない。 「……ちょー、気まずい発言よ。ソレ。誘われてるようにしか聞こえん」 「男とは言え好きなヤツと二人で、誘わないとでも? 内心ドキドキ」 上下マルバツ、Rの1、四角マルバツ。ドキドキされながら放たれた必殺技は、俺のキャラのヒットポイントをごっそり持って行った。鬼畜だ。あと一発で、と思ったところにヒットした最弱の小パンチが、風前の灯にとどめをさした。 「あー、なんどやっても勝てねぇ」 「無駄に必殺技コマンド入れようとするからね」 「ドキドキすんなら多少は手加減しろよ。なんか、出口のない迷路やってるみたいだ。永遠に勝ちにはたどり着かないやつ」 「負けてあげてもいいけど、見返り要求しますよ」 「かーんべん」 見返りとか言いながら、にっこり笑うな。にっこりと!
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