6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「良い男いないかなぁ」
ポッキーの袋を開けて呟くタカ。
「おま……俺に告白しといて、それは早過ぎやしないか?」
「まぁ、ここにはシュン君しかいないわけだけどね。俺の家だし」
未だにブラウン管であるテレビにうつるのは、3Dの格闘ゲーム。コントローラーを操る指が、まるで一本一本が阿修羅の様な動きで、まぁ俺はこいつに勝てたことがない。
「……ちょー、気まずい発言よ。ソレ。誘われてるようにしか聞こえん」
「男とは言え好きなヤツと二人で、誘わないとでも? 内心ドキドキ」
上下マルバツ、Rの1、四角マルバツ。ドキドキされながら放たれた必殺技は、俺のキャラのヒットポイントをごっそり持って行った。鬼畜だ。あと一発で、と思ったところにヒットした最弱の小パンチが、風前の灯にとどめをさした。
「あー、なんどやっても勝てねぇ」
「無駄に必殺技コマンド入れようとするからね」
「ドキドキすんなら多少は手加減しろよ。なんか、出口のない迷路やってるみたいだ。永遠に勝ちにはたどり着かないやつ」
「負けてあげてもいいけど、見返り要求しますよ」
「かーんべん」
見返りとか言いながら、にっこり笑うな。にっこりと!
最初のコメントを投稿しよう!