大正・ネクロマンス 2

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 あぁ、私はまだ、貴女のお名前を聞いていませんでした。    名前等、今更どうでも良いではございませんか。    では無理には聞きません。ところで私が、死体しか愛せない理由を説明致しましょう。    私には昔から幽霊が見えましてね。私以外の生きている人間は、幽霊が動かしている人形。そんな感じがしているのです。    幽霊を愛するなんてとんでもない。と云う訳で、幽霊の抜けた人間を愛しているのですよ。    マァ。なんて可笑しな人でしょう。    ハハハ。私からしてみれば、貴女のほうがずっと可笑しい。折角、幽霊になったのに、ご主人には会いに行かずに私との行為をずっと見ていらっしゃる。    私が生きている時は、指一本、触れてはくれなかったのに。そんなに死体がお好きですか? 人殺しさん?    はて? 貴女は自分の意思で自殺したのではないですか。    まぁ、まだしらをきるつもりですのね? 私は貴方に自殺する様に仕向けられたのですよ?
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