あり得ない!!酒も飲めないハードボイルドNOG現わる!

5/20
前へ
/20ページ
次へ
『ガチャリ…』 『キィ…ィ』 木のドアが鉄の蝶番と擦れて、悲鳴にも似た音を立てる……。 俺は臆する事なく一気にドアを開ける。 『ミシ…ミシッ…』 多少浮き上がりのあるフローリング仕立ての廊下を茶の間に向かって歩きだす……。 茶の間には、親父とオフクロがいるはずだ……。 まずは、顔を出しておかねば……。 ……親しき中にも礼儀あり……。 人として、最低限の事はやらねばならぬ。 せめて、『オハヨウ』の一言だけでも伝えねばならないからな……。 最近の若い奴等は、礼儀すら知らない輩が多いからな……。 人としての当たり前の行為や、行動。 礼儀作法に始まり。 善悪の良し悪しの区別。 無感動、無表情なんて、言われてもいたな。 ゆとり教育が生んだ結果だ……。 ゆとりがあるのは財政面だけで十分だよ。 人間は多少忙しい位がちょうどいい。 『人は忙しい内が華。』 なんて言葉もあるくらいだからな。 ただ、あんまり忙しすぎるのは好ましくない。 忙しすぎると周りが見えなくなる事もしばしばだ。 体を壊す原因にもなりかねないしな。 決まった休日の日にキッチリ『ゆとり』を取れば、それでいい…。 今のヤロッ子どもは毎日が『ゆとり』だからな。 …フッ。たまには俺も言うじゃねぇか……。 あまりの自分の渋さに、俺は迷わずマルボロを口に………。 ……持ってなかった。 ……『ゆとり』すぎる今の世の中に一抹の不安を抱えながら、俺は茶の間のドアを開けた……。 『カチャ…』 『オウ…オハヨウ…』 『あれ…?アンタ今日平日でしょ?仕事は?』 『…。…休みだ…。』 ……俺も『ゆとり教育』だ……。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加