出会い

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(…目が覚めなければいいのに。) 毎朝起きた瞬間、そう思う。 腹痛と吐き気で目が覚める。 いつもこんな感じで 目が覚めるものだから 私には目覚ましなんて 必要ないのではないかと思う。 今日もその役割を 果たせなかった 目覚ましのアラームをOFFにし 顔を洗いに洗面所へ行く。 洗面所の鏡に 暗い表情の冴えない少女が写り、 私は思わず目をそらし 早々と顔を洗い終え ご飯を食べることにする。 冷蔵庫からお母さんが 仕事行く前に作ってくれた ごはんを取り出し、 冷たいままそれを口に運ぶ。 私にとって、もうそれは ただ生きるための 必要最低限の行為であり それ以上でも それ以下でもない。 ご飯の味がしなくなったのは いつからだろう? 噛んでも噛んでもノドに つっかえ一向に 飲み込めそうにない そのカタマリを 水と一緒に胃腸へ流し込む。 髪を梳かして制服を着る。 この服を着ると余計に 腹痛と吐き気がひどくなる。 身体からSOSが発信される。 私の思考がそれを 無視しろと 命令する。 そして私は誰もいない部屋を出、鍵を閉め 今日も、また 学校へと向かうのだ。
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