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私の気分とは裏腹に
その日は本当にいい天気で
夏の終わり特有の
眩しく照りつける太陽と
夏真っ盛りの時期を
逃したセミが数匹寂しく
鳴きながら
秋をにおわせる
涼しい風が吹いていた。
片道10分の通学路を私は
倍以上の時間をかけて歩く。
足が、思うように
動かないからである。
鉛がついているかのように
重くて
歩みを止めろ
と訴えるように何度も
動かなくなりそうになる。
その日は特にひどかった。
腹痛と吐き気と更に
今度は眩暈までしてきて
私は耐えられず歩みを止め、
その場にしゃがみこんだ。
しゃがみこんだまま
ふと前を見ると
金網の向こう側、
何十メートルか下に
車がせわしなく
走り去っていく
高速道路を見た。
私はその上を通る
橋の上にいるのだった。
ふと、ひとつの考えが
頭をよぎる。
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