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日が高く上がる前。
ぽかぽかと暖かい日差しが差している午前中、サスケは孤児院の大人達の言い付けで、数人の仲間達と共に近くの森へ薬草を摘みに来ている。
「サスケ、こんだけあればいいんじゃないか?」
一人の眼鏡をかけた少年が、サスケに話しかけてきた。
黒髪に茶色い瞳のこの少年・サガトは、いつもサスケと行動しているグループの一員で、グループ内のリーダー的存在である。
薬草に一番詳しいサスケに、小さな背中に背負っている籠を見せた。
「……もう少しいると思うけど」
軽くガサゴソと中身を見た後、サスケはボソっと呟くように言った。
「そうか? まぁ、サスケがそう言うんじゃ、そうなんだろう」
「そうそう。サスケくんが一番、薬草にくわしいからね」
サガトがサスケの言葉にあっさり頷き、傍にいた少女・アカリが相討ちを打つ。
このグループ内の紅一点(?)。唯一の女の子は、肩辺りで綺麗に切り揃えた焦茶の髪と瞳を持っていた。
「んじゃ、手分けして探すかぁ」
最後の一人、暗い灰色のそこそこ長い髪と瞳の少年・ハイノは、面倒臭そうに言う。
「了解!」
アカリが元気良く返事をし、サガトは笑顔で頷いた。
「うん、わかった」
サスケも軽く頷いて返事をするが、顔は無表情で声色も強弱がない。
サスケは、この孤児院の子供達の中で一番口数が少なく、感情をあまり表に出さない事で有名だった。
そう言うと四人の子供達は、あちこちに散らばっていった。
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