本(ウソ)から出た空想(マコト)

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「すまないな。昔から人を詮索するのが癖でよく人を疑ってしまうんだ」 「臆病ね…他人が信じられないのかしら?」 長谷川、いや長谷川になりすましていた者はそう言い終えた後、顔を両手で覆い隠した 「どうした?疑われて悲しくなったか」 「クスクスクス…そうよぉ。悲しくて悲しくて泣き叫びたい気分だわぁ…」 長谷川ならざる者は頭を震わせる 薫はそんな事なぞお構いなしに立ち上がる 「ならそれの邪魔にならないように俺は立ち去ろう」 立ち上がった薫は歩き出そうとするが、突然腕を掴まれる 腕を掴んだのは勿論、未だ顔わ覆っている長谷川ならざる者。 その掴む力は尋常なく強く、薫の腕がミシミシと悲鳴をあげている 「待ちなさいよぉ…。女性をこんな所で一人にするの?慰めてくれないの?構ってくれないの?優しくしてくれないの?ねぇえ!?」 「っ!?」 顔を上げたのは今までの綺麗な顔立ちの長谷川ではなく、口は耳元まで横に裂け、その唇は紅く、目は真っ赤に純血していた そう、言うなればその姿は――――口裂け女 「こ、これは予想外過ぎるな…。まさか都市伝説が実在するとは」 薫はその場から一刻も早く立ち去りたかったが腕を力強く掴まれてそれが出来ない 「さっきから五月蝿く鳴くあなたの整った口が憎い…憎い!憎たらしい!鬱陶しい!」 口裂け女は髪をかきむしりながらしきりに憎悪の言葉を繰り返す 「そうだわぁ…そんな邪魔な物使い物にならなくすればいいんだわ!」 髪をかきむしる手をピタリと止めると同時に薫を掴んでいた手も手放す そして自分の胸元、ワンピースの中に両手を突っ込み、そして 「切り取ってしまえばいいのよ」 抜かれた両手には刃渡り30㎝はあろう所々黒く錆びた鋏が握られていた
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