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「ねぇ…私、綺麗?」
口裂け女は小さく呟く程度でそう言うと、間髪入れずに手の鋏を薫の顔に突き出す
だが薫は軽く身構えていたせいか、反射的にその突きを避けた
「聞いといて無視するかッ!」
薫は後退し、口裂け女と少し離れた距離をとる
「あなたもパックリ開かせてあげるわぁ、私みたいにねぇ!」
しかし、その距離は何の意味も成さず、口裂け女は人間とは思えない速さで距離を詰めまた鋏を突き出した
しかしまたそれを薫はすんでのところで避ける
「反射神経は良いみたいねぇ?」
「俺は臆病者だからな」
薫はバックステップをし、また距離を取る
「あら?ならそんなチキン、さっさと調理してしまおうかしら」
口裂け女は休むことなく鋏を突き刺してくる
薫もそれをテンポ良く回避していくが徐々に服に切られた跡がつき始めた
(チッ…余裕がなくなってきたな)
自分の顔に目掛けて突き刺された鋏を首を横に少しずらす事で避け、そのまま鋏の持ち手を片手で持つ
「こんな危ない物没収だ」
そのまま巴投げの要領で後ろに体を倒し、片足を口裂け女に当てそのまま投げ飛ばす
そして鋏は投げ飛ばすと同時に奪い取る
「小癪な真似を…!!」
一方投げ飛ばされた口裂け女は、身を翻し両足で着地するが顔を上げた時には既に薫が目の前に迫っていた
「そっちも没収だ…!!」
奪い取った鋏を上に振り上げそのまま口裂け女の顔に振り下ろされると思われたが、その鋏は顔には振り下ろされる事はなかった
「…どういうことかしら?」
「俺は女性は傷付けない、姿形が異様であろうとな。ましてやクラスメートの顔に鋏なんか突き刺せるか」
振り下ろされた鋏は口裂け女が持っていた鋏の持ち手の輪の中に入れられ、そのまま地面に深く突き刺されていた
「あまちゃんね?」
「男としての最低の心掛けにすぎないさ」
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