第二章 二人の薔薇の王

1/6
前へ
/26ページ
次へ

第二章 二人の薔薇の王

相容れぬ“二人の王” まるで光と闇のように寄り添いながらも常に背を向けた状態で互いを受け入れぬ。 “王の薔薇の紋を持つ者、2人現る時、それはこの世に危機迫る時と心得よ” 「うわっ!」 なんともマヌケな声を上げてヴァルキは馬の上から落ちてしまった。 共にいた3人は呆気にとられた。 「何をしている…」 冷めたような目でヴァルキを見下ろしているルードゥ。 ヴァルキはポカンとしてルードゥを見上げた。 「いや…何か視えた気がして。」 「何だ、それは。」 眉をしかめたルードゥ。 レプランとオリエッセは馬から降りてヴァルキを立たせた。 「気のせいかもしれない。 何か城が視えた気がしたが…。」 気を取り直し馬に跨るヴァルキ。 その姿は昔の覚醒する前…人の姿だった。 「城?」 首を傾げたヘルラージ。 だが、ヴァルキの視た城はこのアクラツエル領やベルサージュ領のどこにもない。 どういう事だろう。 ならば他の領地なのか。 「他に特徴はないのか?」 「特徴…」 これと言って特徴はなかったようだ。 何かを断定出来るものもない。 時間の無駄だと判断したルードゥは馬を走らせた。 .
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加