第一章 茨の封印

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扉を開け、三人が目にしたのは懐かしい二人の人物。 「ヴァルキ…ルードゥ…」 名を呼ばれた二人は椅子に座り寛いでいて、三人の方を振り向いた。 金糸の髪の男はレプランの友人でオリエッセの甥、ヴァルキ・ロシュフォ。 長い白髪の男はこの屋敷の主であるルードゥ・ドラキュリア。 この二人こそ、一年前の出来事の当事者である。 ヴァルキは覚醒したままの姿で、ルードゥもあの頃のまま。 変わらない姿にレプランは笑みを零した。 「あれから、どれくらい経ったんだ?レプラン。」 「一年…。もう一年だ…変わらないな、ヴァルキ。」 「そうか、一年も。」 ヴァルキはチラッとルードゥを見た。 目を合わせたルードゥは、ふいっと視線を逸らした。 その様子にヘルラージとオリエッセがクスクス笑う。 「何がおかしいっ!」 「いや…伯の態度も相変わらずだと思ってな。」 笑いを堪えようとするオリエッセだが、吹き出して笑ってしまう。 ルードゥは呆れた表情。 「…」 「俺達を起こしたのには訳があるんだろ?オリエッセ。」 ヴァルキの赤い目がオリエッセを射抜く。 オリエッセは急に笑いを止め、真顔になる。 .
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