第二章 二人の薔薇の王

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「おい、伯!」 オリエッセが呼ぶが、聞いていないらしい。 溜息をついて馬に乗るオリエッセとレプラン。 「行こうか」 ルードゥに続くように馬を走らせる。 ヘルラージの屋敷に着くと使用人が出迎えた。 「お帰りなさいませ、お館様。」 「何か変わった事はあるか?」 馬の手綱を受け取った使用人は伏せていた頭を上げた。 「はい、不逞の輩が薔薇園に忍び込んだので捕らえております。」 淡々と答えた使用人。 ヘルラージはふと考え込む。 そして何も言わずに薔薇園へと向かう。 ヴァルキ達も慌ててヘルラージを追いかけた。 薔薇園にあれ以来の損傷はない。 ヘルラージは園内を歩き回る。 「これがベルサージュの薔薇なのか。」 「ルードゥは初めて見るんだったな。」 「あぁ。」 ルードゥは興味深々に薔薇を見つめている。 だが、ルードゥの様子に異変が生じた。 「どうした?」 「な…何だ、今のは…。」 目を見開き薔薇から離れたルードゥは頭を抑えている。 「“視た”のか?」 「…あぁ」 本来、ヴァルキしか視えていなかったものが、ルードゥにまで視えた。 どういうことだろう。 訳が判らない。 何がどうなっている? 先に行っていたヘルラージが戻って来た。 その後ろには茨に拘束された賊がいた。 .
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