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随分と痛めつけられたのかボロボロだ。
「どうした、何かあったのか?」
「何でもな…」
ルードゥが言いかけて目を見開いた。
その拘束された男に見覚えがあったのだ。
「お前は…っ!」
ルードゥが詰め寄るが男は黙っている。
するとヘルラージが振り返りもせずに目を細めた。
茨が男の身体を締め上げていく。
棘が身体中に刺さるが、男は声を押し殺している。
「貴様が何故ここにいる!?」
声を荒げたルードゥ、だが男は喋ろうとはしない。
ヘルラージは溜息をついた。
「強情な奴よ…何も話さんとはな。」
チラッとルードゥを見据えたヘルラージ。
ルードゥは動揺しているようだ。
「よくも私を…騙したな!」
ルードゥが叫んだ瞬間、ルードゥの首から下げられていた逆十字架があの時の槍の形になる。
それを手に男の方へと向けた。
「止めろ、ルードゥ!」
男の目の前で槍が遮られた。
ヴァルキの双剣が槍を受け止めていた。
「何故、邪魔をする!」
「こいつは何かを知っている。
まだ殺すな。」
「そう簡単に口を割らないのは見ていただろう!」
ルードゥを落ち着かせ、ヴァルキは男の方へと振り返る。
男はヴァルキの姿に目を見開いた。
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