第二章 二人の薔薇の王

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随分と痛めつけられたのかボロボロだ。 「どうした、何かあったのか?」 「何でもな…」 ルードゥが言いかけて目を見開いた。 その拘束された男に見覚えがあったのだ。 「お前は…っ!」 ルードゥが詰め寄るが男は黙っている。 するとヘルラージが振り返りもせずに目を細めた。 茨が男の身体を締め上げていく。 棘が身体中に刺さるが、男は声を押し殺している。 「貴様が何故ここにいる!?」 声を荒げたルードゥ、だが男は喋ろうとはしない。 ヘルラージは溜息をついた。 「強情な奴よ…何も話さんとはな。」 チラッとルードゥを見据えたヘルラージ。 ルードゥは動揺しているようだ。 「よくも私を…騙したな!」 ルードゥが叫んだ瞬間、ルードゥの首から下げられていた逆十字架があの時の槍の形になる。 それを手に男の方へと向けた。 「止めろ、ルードゥ!」 男の目の前で槍が遮られた。 ヴァルキの双剣が槍を受け止めていた。 「何故、邪魔をする!」 「こいつは何かを知っている。 まだ殺すな。」 「そう簡単に口を割らないのは見ていただろう!」 ルードゥを落ち着かせ、ヴァルキは男の方へと振り返る。 男はヴァルキの姿に目を見開いた。 .
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