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第三章 隣国の訪問者
辺境の地に足を踏み入れた小さき者
フードを取り馬から降りた。
そして微笑む。
「もうすぐだよ…」
使用人の1人がヘルラージの元へとやってきた。
「お館様、お客人で御座います。」
「ほう…珍しい。」
ヘルラージは目を細めた。
そして中へ通すように告げると使用人は下がった。
そして数分も経たぬうちに客人を伴い再び姿を見せた。
立ち上がるヘルラージ。
「これは幼き客人、ようこそベルサージュ家へ。
この辺境の地へ何用かな?」
ヘルラージの言い方が僅かながら棘がある。
気のせいなのか。
幼い客人は一見、少年のように見える。
「お初にお目にかかります。
ボクはヴェルと申します。
各地の薔薇の研究をしている者です。」
とても可愛らしい少女のような子。
人間か、同族か、ハーフか…見た目は判らないが。
ヴェルはとてもしっかりしているようだ。
「薔薇…という事は我が薔薇園を?」
「はい!是非とも。」
目を細めたヘルラージに怯むことなくヴェルはにこりと微笑んだ。
ヘルラージはヴェルを見据えていたが視線を逸らした。
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