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「“ベルチェ”という男を知ってるな?」
紅茶を一口飲み、ヘルラージが問うとヴェルはキョトンとした。
「ベルチェが何か?」
「我が薔薇園を荒らしたのでな。
閉じ込めてある。」
「そんな…ベルチェがそんな事…」
ベルチェと知り合いらしいヴェルはとても驚いていた。
何かの間違いだと…。
ベルチェはそんな事をするはずがないと口にしていたが証人がいる。
ベルサージュ家の使用人だ。
「申し訳ありません。
ベルチェは何か勘違いをしていたようです。
ボクの遣いとして言伝を頼んだのですが…こんな事になるとは…」
「…ふむ」
菫色がヴェルを見据えた。
今にも泣きそうなヴェルを見て考え込んでいる。
チラリとヴァルキを見ると、それに気付いたヴァルキはにこりと笑う。
「ヘルラージに任せるよ。」
「私的には許し難いがな。」
しばし考え込んだ後、ヘルラージはヴェルの研究が終わり次第ベルチェを解放すると言う。
「おい!」
否を唱えたのはルードゥ。
ギロリとヘルラージを見据えている。
「これ以上、罪人に薔薇を汚されたくないからな。」
怯むこてなくギロリと睨み返すとルードゥは黙り込んだ。
ヴェルはホッとする。
「ありがとうございます、ベルサージュ伯爵。」
「本日はゆるりと休むがいい。
部屋を用意させよう。」
ヘルラージがそういうと使用人はヴェルを部屋へと連れていく。
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