3人が本棚に入れています
本棚に追加
扉が閉められ、不満そうなルードゥを見たヘルラージは溜息をつく。
その様子にオリエッセはヘルラージのカップに紅茶を注ぐ。
「伯こそ不服そうだな。」
「気に入らんのだ、あやつ…」
ヴェルと名乗った少年。
何かを隠しているような目をしていた。
それに何かが引っかかる。
「“同族”かもしれないとか?」
「!」
何気ないヴァルキの言葉に驚いたのはヘルラージ。
「ヴァルキ…何故?」
「何となく。」
そう、何となくヘルラージが思ってる感じがした。
つい口に出してしまったが、驚いたヘルラージを見つめ微笑む。
するとヘルラージとオリエッセは苦笑した。
「本当に適わんな…」
「全くだ。」
その意味を知らないレプランは首を傾げ、ルードゥは考え込んでいた。
ヴェルは使用人に通された部屋で寛いでいた。
そしてクスクス笑い、窓を開けた。
丁度、下は薔薇園。
そしてベルチェが捕らえられているであろう小屋もある。
「本当、気づいていないようだね…ベルサージュ伯。」
同族だと気付いていたとしても、ましてや隣のベルレイシー領の者だとは気付かないだろう。
領主自ら来るとは思わないだろう。
.
最初のコメントを投稿しよう!