第三章 隣国の訪問者

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扉が閉められ、不満そうなルードゥを見たヘルラージは溜息をつく。 その様子にオリエッセはヘルラージのカップに紅茶を注ぐ。 「伯こそ不服そうだな。」 「気に入らんのだ、あやつ…」 ヴェルと名乗った少年。 何かを隠しているような目をしていた。 それに何かが引っかかる。 「“同族”かもしれないとか?」 「!」 何気ないヴァルキの言葉に驚いたのはヘルラージ。 「ヴァルキ…何故?」 「何となく。」 そう、何となくヘルラージが思ってる感じがした。 つい口に出してしまったが、驚いたヘルラージを見つめ微笑む。 するとヘルラージとオリエッセは苦笑した。 「本当に適わんな…」 「全くだ。」 その意味を知らないレプランは首を傾げ、ルードゥは考え込んでいた。 ヴェルは使用人に通された部屋で寛いでいた。 そしてクスクス笑い、窓を開けた。 丁度、下は薔薇園。 そしてベルチェが捕らえられているであろう小屋もある。 「本当、気づいていないようだね…ベルサージュ伯。」 同族だと気付いていたとしても、ましてや隣のベルレイシー領の者だとは気付かないだろう。 領主自ら来るとは思わないだろう。 .
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