第三章 隣国の訪問者

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焼けたであろう場所に目をやり微笑む。 「ふふ…もうすぐだ…カウントダウンが始まる!」 部屋から聞こえるヴェルの声を廊下に居た使用人が聞いていた。 無表情でただ扉を見つめていた。 茨の檻の中にいたベルチェはヴェルの声を聞き、上を見上げた。 「ヴェルレイシー様…」 ポツリと呟き、口元を歪ませ笑う。 ベルサージュ家特製の薔薇風呂に浸かっていたのはルードゥ。 イヤにならない程良い香りに目を閉じていた。 ハッとして目を開くと、そこは見知らぬ風景。 目の前には城のような建物。 おかしい… 確か湯に浸かっていた筈。 そんな事を考えていると風景が変わって、城の内部のような所に居た。 「何だ…訳が判らん。」 ルードゥはその内部を歩いていく。 窓側に佇む赤いフードを被った幼い子がいる。 このシルエットは? その子が振り向こうとした瞬間、ルードゥは現実に戻って風呂場の天井を見つめていた。 「ルードゥ!!」 目を見開いたルードゥはヴァルキと目が合った。 「何だ、お前…」 ヴァルキに支えられていると知ったルードゥは直ぐに離れ、状況を把握する。 「何だって…ルードゥが遅いから心配で。」 .
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