序章

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彼、オリエッセは胸ポケットに挿していた薔薇をヘルラージへと差し出す。 「おや、これは?」 「あの茨の森の薔薇だ。」 「まるで、ここの薔薇のようだね。」 薔薇の手入れをしていたヘルラージは椅子から立ち上がり薔薇を見つめる。 「確かにここの薔薇だ。 さすが、我らが王たる力…。 ベルサージュ家の薔薇の魔力を引き出すとは。」 「我らが王の前に私の甥だぞ?」 「そうだったな。」 二人してクスクスと笑い出す。 だが、笑いは突然止まった。 「はて…薔薇の香りを消すような香りを漂わすはどこの同族だ?」 ヘルラージの棘のある言い方に周りの薔薇がざわめき茨が蠢いた。 そして侵入者を排除しようと茨が襲いかかる。 瞬時に動いた影にオリエッセは隠し持っていた剣を抜く。 侵入者よりも素早い動きで追い詰めた。 呻くような声に血の匂い。 一人はオリエッセに負傷を負わされ、もう一人は茨の餌食となりヘルラージの目の前にいた。 「さて、話してもらおうか。これは一体何の真似かな?」 茨に締め付けられ地に血が滴る。 .
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