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「あのあたりは、確か…」
「そう…薔薇香水の薔薇ではなかったから良かった。
…が、丹精込めて育てた薔薇が台無しではないか…。」
さすがにお手上げだという手振りを見せるヘルラージ。
あの後、雨が降り火が鎮火した薔薇園の一部。
それを屋敷から見つめていたヘルラージは横目でオリエッセを見上げる。
「オリエッセ、どう思う?」
「何の目的か、薔薇園の破壊か、この薔薇園に秘密があったとかだろうか。」
ベルサージュ家特製の薔薇酒を飲みながらヘルラージを見たオリエッセ。
「しかし…この薔薇園に何があるというのか。」
「伯は知らないのか?」
目をまるくしたオリエッセにヘルラージは視線を逸らす。
「先代から何も聞かされてないぞ。」
「まぁ、何かあるなら伝えてる筈か。」
ヘルラージは酒を一気に煽るとグラスを置き、再び険しい表情を見せた。
「調べてみる価値はありそうだな。」
「では私は甥の友人の様子を見て来ようか。」
同じくグラスを置いたオリエッセは静かに立ち上がった。
暗い…
冷たい…
静寂なる世界
茨に抱かれ眠るは
薔薇の刻印持つ者
鼓動が響く
それは茨か、それとも…
→next story…
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