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明朝、レプラン、オリエッセ、ヘルラージの三人は馬を走らせドォルガラへと向かう。
ドォルガラは活気に満ち溢れていた。
三人は真っ直ぐに街外れにある茨の森へと足を運んだ。
森全体を覆う茨。
そして茨に咲く薔薇。
ヘルラージは近付き、それに触れる。
「ふむ…やはりな。私の呼び掛けに応えてくれるだろう」
オリエッセとレプランは一旦、離れて様子を伺う。
ヘルラージは眼帯を外し目を開く。
薔薇の刻印が施された菫色の目が茨を見据えた。
「さぁ、長き眠りから覚めるがよい…時は来た…」
優しい母のような声音に茨がゆっくりと動き始め、そして道を作っていく。
「さぁ、行こう。」
ヘルラージが先を歩き、二人は後に続く。
屋敷までの道以外は茨に囲まれたままだったが、道を閉じることはなかった。
ようやく辿り着くと屋敷は劣化することもなくあの時のまま。
屋敷に巻き付いていた茨は消えていた。
扉を開けて中へと入る。
中も綺麗なままだった。
「さて…オリエッセ、何処へ向かえばいい?」
「案内しよう」
今度はオリエッセが先を歩き出す。
オリエッセは屋敷の主の部屋へと向かっていた。
ヴァンパイア族の四家、東のドラキュリア家当主、ルードゥ・ドラキュリア。
それがこの屋敷の主。
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