災い

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「・・・逃げるよ。」 それだけ言うと俺を抱えたまま動きだした。 一体なんだっていうんだ? 頭が混乱している。 もしかして・・・ このサイレン・・・。 うちが燃えているのか? 一体なんで? それにしても17歳の男を一人抱える母親の力ってすげえな。 火事場の馬鹿力ってやつかな・・・ まだ状況が飲み込めない。そんな渦中にいるだろうにもかかわらず、母親の腕の中で先ほどまでの恐怖は吹き飛んでいた。 しかし 突然息苦しくなり、体中が熱くなった。 一瞬のことだった。 意識が遠のいていくのを感じた。 「こ・・光輝・・・・」 遠のく意識の中で、最後に聞こえたのは母親の声だった。
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