悪夢の始まり

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封筒が届いてから2日後、謙悟は疲れた顔で、ベットから起きた、封筒が届いてから、身の回りが忙しかった、父さんや母さんは自分の息子が召集される事に納得がいかずに、なにかいい方法が無いかとずっと考えていたらしい、そのせいで、目元には大きなくまが出来ていた、 夕べ眠れなかったようだ、それに比べて僕はなんて暢気なんだろうと思うくらい寝ていた、 そんなに苦しいものなのだろうか? 僕はまだ20歳の大学生で、家庭を持ったことがないので、良くわからなかった、 頭の中ではすぐ戻ってこれるだろう。と思っていた、電車の時間が近付いて来ていたので僕は家を出ることにした。 玄関で靴を履き、両親に声をかける、「じゃぁ、父さん、母さん。行ってくる。今まだ戦争って気がしないけれど、いつなにが起こるかわからないから、気をつけてね。」 母さんは涙をこらえきれずに泣いていた、父さんは悔しそうに下唇を噛んでいた、家族と離れるのは辛かったが、今一番辛いと思えることがあった、一緒の大学で知り合った美砂だ、僕の彼女である。美砂のことが一番気になった、 召集命令が掛かったことは美砂には伝えていない、美砂の悲しむ顔が見えていたからだ、黙って行く事を申し訳なく思うが、その方が一番いいと自分で思ったからだ、そして両親に別れを告げ、玄関をでて、ゆっくり駅へと足を進めた、
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