第1章 ある二人の一歩

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 千葉潤は、机に突っ伏してクラスメートを挟んだ先の桜を眺めていた。  「あー‥、流石にもう立ち直れないかもしんないなぁー。」  結局、千葉が教室に入った時はHR(ホームルーム)は半分終わろうという頃だ。  当然、担任教師から怒鳴られた。  進級のクラス替えで初めて千葉という人間を見た新クラスメートもいるだろうこのタイミング。彼らの目に今の自分がどのように映っているのか‥、それを思うだけで千葉の気分は最悪だった。  「何言ってるんです。潤が遅刻することなんて今に始まった事じゃないです。私としては、今更って感じです。」  千葉の鬱(ダーク)な独り言を聞いて話し掛けてきたのは佐久間織姫という女子生徒だ。  「そうじゃないんだよな~。分かんねえかな~コレ。そりゃあ佐久間は一年生から"友達"なワケだから今更だろうけど、初日に遅刻は第一印象(イメージ)最悪だろ。」  「別に問題ないです。潤には私という"親友"がいるのだから問題ないはずです。」  「佐久間、お前バカだろ。お前バカだろ。」  「む~!なんで二回も言うんです?!」と、佐久間は頬を膨らます。  それが違和感なく自然に見えてしまうのが恐ろしい。  佐久間と千葉は第三高校に入ってから知り合った。  一年生でも同じ組(クラスメート)で、今では学校にいる時はいつも一緒にいるくらいの仲良しだ。
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