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少年は、素早く着替えることも、手早く歯を磨くことも普段の生活で(必要に迫られて)会得していた。
兎に角、彼は朝が苦手なのだ。
それでも、そんなの言い訳にもならない。始業式早々に社長出勤(チコク)は拙い。
少年は学生寮から高校に全力疾走した。彼に道端に植えられた桜並木を楽しむ余裕などないのだ。
彼は思い出す。勿論、足は決して止めない。
たしか今日は、始めに掲示板で自分のクラスを確認して、教室に入るんだったよな?開始時間(タイムリミット)は八時三〇分。
大丈夫!このペースならギリギリで間に合うはず!
電波腕時計を確認して、彼にも希望が見えてきた。
依然、余裕はないギリギリの計算(プラン)だが、間に合う可能性が壱(アルノ)か零(ナイノ)かでは話が全く異なるのだ。
春の朝、少年は全力(フルスロットル)で登校する。
"身体能力だけ"は自慢できる彼でも、マラソン登校は流石にキツかった。
今更ながら少年は自身の春休みを振り返り、自分が如何に自堕落な夜更かし生活(ライフ)を送っていたかを痛感した。
(そりゃあ朝起きれなくなるわなァ‥)
そして反省もした。
‥なんだコレ。
少年の住む学生寮は、彼の通学する第三高等学校から時間にして徒歩二〇分といった所か。
彼は、その道程の四分の三を走破し、ラストスパートかな、と思い始めた。
と、ここにきて前方に学ランを着た三人の男子学生らが見えてきた。
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