第0章 ある少年の日常

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 千葉は苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。  彼にとって、この三人組との遭遇は喧嘩(バトル)を意味している。コレは大問題だ。  何も怪我すること、させることを問題視しているワケではない。  千葉が大問題だと感じていることは、喧嘩が時間の浪費(タイム・ロス)に繋がることの一点に尽きる。  三人はゆっくりと千葉の周囲を囲む。  やはり喧嘩を始める気らしい。  ルーズ足立が右。EXILE生駒が正面。金髪上野が左に回る。  最近の彼らの戦法は三方同時攻撃だ。その布陣がそれである。  どうも千葉の前に惨敗(クロボシ)を重ねる彼らも一応は試行錯誤はしているらしかった。  今となっては何がキッカケかも思い出せないが、一年生の初戦ではバラバラのガキの喧嘩だった。それが今では合理的な集団戦法にまで進化した。  一人の攻撃を防いだとして、残る二人の攻撃が死角に入る同時攻撃はなかなかに厄介なのだ。  千葉は、それは二刀流の強さを喧嘩に取り入れたのだろうか、とも考えたこともあったが、そんな頭はないだろう、と今は自分で否定している。  だが、結局その三方同時攻撃が厄介な集団戦法だったとして、千葉には余り興味が沸かなかった。  三人組がどのような戦法をとろうが、全く負ける気がしないからだ。  だから、彼は一対三を問題視していない。  過去の対戦を見るに、千葉の勝率は一○〇%。その自信があるからだ。
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