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千葉は振り返りながら二人の動きを見る。
(右足からのローキックか!)
生駒の右足の軌道は先程より低い。恐らくは太股を叩いて機動力を削ごうという狙いだろう。
そう判断を下すと、千葉は左手で生駒の右足を掴もうと構える。
まだ加速しきっていない不完全な蹴りは、ずば抜けた動体視力を持つ彼の左手に掴み取られた。
これは防御ではない。攻撃の準備だ。
千葉は左腕を思い切り引き、生駒の右足を手繰り寄せる。
「なッ‥!?」
自分を支えるのは軸足だけ。そんな不安定な状態で右足を引っ張られた彼は、抵抗することも叶わず千葉のなすがままになっていた。
千葉は右拳に力を込めて、狙いを定める。
強制的に此方に向かってくる生駒の顔面目掛けてパンチをかます。
千葉自身のパンチのスピードに、今回は対象自身の移動速度が威力に加わる。
千葉は二人目も一撃で仕留めようとしていた。
が、生駒も素直に殴られる程バカではなかった。
両腕を頭の前で交差(クロス)させて防御したのだ。
容赦ない一撃が防御越しに彼を襲う。
体重が乗ったパンチを不安定な状態で受けた生駒は、後方に飛ばされて路上を転がった。
そこに千葉の追い討ちが迫る。
今度は千葉が生駒の太股(キドウリョク)を奪いに来たらしい。
しかし、上野が二人の間に「させるかよ!」と、割ってはいる。
千葉は、上野が来ようと同じことだろうとしか思わない。
割って入っても、三対一でコノザマなのだから、上野が一対一をしたところで勝機は無い。
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