殺し屋

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貸し切りにされたバー。 店内には、バーテンダーと女。 「では、その段取りで、来週土曜日の夜、場所はここでお願いします」 バーテンダーが、不安そうな表情でそう言うと、女は答えた。 「承りました。来週土曜日の夜、場所はここでですね」 「はい。あ、あの……」 「大丈夫ですよ。確実に殺してみせます。では」 どこにでも居そうな風貌の女は、出された酒をクイッと飲み干すと、バーテンダーを一人残して店を出た。 バーテンダーは腕時計で現在の時刻を確認し、ピッとボタンを押した。 そしてドアにかけられたボードを「OPEN」にした。 女は、その世界では名の知れた殺し屋で、仕事は只の一度も失敗したことがない。 バーテンダーは借金に溺れており、それをチャラにするために奥さんには死んでもらい、保険金を貰おうと企んでいた。 その為、殺し屋である彼女に依頼したというわけだ。 段取りはシンプルなもので、貸し切りのバーで、バーテンダーの奥さんに毒入りの酒を飲ませる。と言うものだ。
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