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「一緒に出ましょう。私は、アナタの浮気相手です。いいですね」
バーテンダーは不安な顔で頷いた。
「こんばんは」
女は動揺した様子を微塵も見せず、堂々とカウンターへ出た。
「あなた……誰よ?」
奥さんは、凄い形相で睨みつけた。
「実は俺たち、付き合ってるんだ……」
バーテンダーが言うと、奥さんは女に言った。
「あなたも幸せ者ね。こんな、しがないバーの店主と浮気なんて。フフフ」
そして、バーテンダーの出した酒を一気に飲み干した。もちろん薬入りのだ。
……
…………
一向に奥さんは苦しまない。
「!?」
――おかしい。女は思った。この薬は即効性があるのだ。飲むと、すぐに心臓がマヒし死ぬはずなのだ。
次の瞬間、バーテンダーの腕時計のアラームが鳴った。
――ピピピピ
そしてバーテンダーは言った。
「どうもありがとうございました。殺し屋さん。もう演技は結構です」
「!?」
女は何が何やら全く理解出来ない。
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