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「重要参考人として連行した人間の、特定の時間帯の行動を調べるということは、おそらくアリバイ調査と見て間違いない」
「──あ、そっか」
「確かにな。多分、その頃に何かがあるんだろう」
知香と柳が頷く。
「そう。考えられる可能性としては、死亡推定時刻が11時前後だったか、もしくは目撃証言が上がったかだ」
「目撃証言?」
知香が首を傾げた。
「その時間に『怪しい人物を見た』とか、そういうのだよ。……まあ、そのへんはわからないけどさ。もしそうだとして、証言者が見たのが名倉さんだった場合、アリバイと兼ね合わせたらまた難しいことになりそうだしね」
「そうだなぁ。──まあ、じゃあとりあえず今は面倒なことは置いといて、その11時前後に彼にアリバイがあるのなら、彼が犯人である線は薄いってことだろう?」
「そういうことだね」
写宮がパンッと軽く手を叩き、のけぞるようにソファの背もたれに体を預けた。
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