虐め

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それから一年。 僕は小学5年生になっていた。 必死に頑張っていたお陰で、ずっと学年や塾で一番をキープしている。 既に学力は高校生レベルにまで達し、周りは僕を天才児と持て囃した。 「大悟、やっぱりアナタは天才だったのね!!流石は私の子だわ!!」 母が壊れそうなくらい抱き締めてくれる。 嬉しい筈なのに、僕は違和感を抱いていた。 天才? 違うよ…、お母さん。 僕は天才なんかじゃない…。 やっぱり、僕を見てくれないんだね…。 天才じゃない…!! 努力しているんだ…!! 血の滲む様な…。 寝る間も惜しんだ努力の結晶なのに…。 でも、そんな事は言えない。 厳しかった母が、せっかく優しくしてくれる。 ぬるま湯の様な居心地の良さに、いつまでも浸っていたい…。 …そんな願いは簡単に砕かれた。 ―――― いつもの様に塾へと赴いた僕は、いつもと違う雰囲気を感じた。 (先生どこだろ…?) 僕だけに個人で教えてくれる先生が、いつも居る場所に居なかった。 仕方なく教室に向かい、授業の準備をしていると扉が開いた。 「あぁ、大島くん。悪いんだけど、少しの間だけ待っててくれるかな?」 返事も待たずに先生は出て行ってしまう。 気になった僕は後をついて行った。 「…お母さん。これは凄い事ですよ!!この子のIQは既に東大生並みです!!伸ばし方次第で、すぐに学力も同等まで上がります!!」 先生が褒め称えてるのは、僕よりも少し小さい男の子だった。 「どうでしょう?是非、入塾させてみませんか?半年で成果が出せます!!」 その言葉に、少年の母親は頷いた。
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