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『木村君~~~』
俺の隣に住む友人にして、魔術の弟子でもある霧島沙耶は、彼女の自宅前に立っており、顔を俺に向けながら、何とも力が抜けるような、間延びした声で俺の名を呼ぶ。
『ん?どしたの?』
俺は手を止めて、呼びかけてきた霧島さんへ顔を向ける。
『この雪って…いつ止むのかな~って』
はあ…と溜め息をつきながら、そんな事を言ってくる。
今は冬休み3日目、学校もつい先日終わったばかりだ、霧島さんは大喜びだったし、もちろん俺もつまらない学校に行かなくて済むので、実に気が楽だ、だから2人揃って機嫌が良かった…雪が降る、いや、雪が止めどもなく降り続けるまでは。
12月の下旬…終業式を終えた時季には、もう根雪になっていて自転車は使えないわ、通りにあるコンビニまで行くには徒歩しかないわで、無駄に時間を費やしてしまうのだ。
バスは遅れてくるのが当たり前になる、そのために霧島さんは、ただですら学校が遠いので早く登校しているのに、雪が降ってからは日がまだ登らない内に家を出なくちゃならなくなった、自分との魔術の練習も深夜までは持たず、せいぜい夜の九時くらいまで、その時間には少し眠たくなっているらしく、生欠伸ばかりするようになる。
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