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『何やってるんです』
『ん?雪が止むようにお願いしてるの』
俺は苦笑いした。
『何よ~、木村君だって雪のお陰で疲れ果ててるじゃない』
霧島さんは俺を見ながら、そう言ってきた。
確かに俺は横になりながら休息しているのだから、疲れ果てているように見えなくもない、いや…実際に疲れているんだけどね。
『そうだ、ねえ木村君、天候を操作する魔術って無いのかな?』
『ある』
『ホントに!?』
『ある』
俺は同じ単語を繰り返しながら、霧島さんが質問してきた魔術が一応「ある」と返事をする。
『けどさ霧島さん、俺達みたいな魔術使いが天候に影響を与えるような魔術を、使えると思うかい?』
『…やっぱり難しいよね?』
『難しいと言うか、無理なレベルだな』
天候魔術などは、古代ヨーロッパに広く住んでいたケルト民族のドイルドに馴染みある魔術だ、ドイルドは「樫の木の賢者」の意味がある呼称で、専業魔術師では無く、神官、占術師…果ては政治家や裁判官などの役目を果たす存在でもあったらしい。
彼ら階級は三段階に別れていて、最下位はバルド(詩人)、中位はウァテス(預言者)、最高位はドイルド(神官)となっている。
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