ホテルとスキー…

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『食堂は…どこだ?』 俺はエレベーターから下りて、ホテルの出入りとなっているホールで、ポツンと1人で立ちながら、そう独語した。 見回しても食堂らしきものが見当たらない、普通は一件くらい、何かあるはずなんだけどな…1人で探そうかと思ったが、燃費が悪い癖に、直ぐに空腹になる俺の腹に対して、少し苛立ち始めていた。 だから俺はカウンターに近寄り、素直に従業員に食堂の場所を教えてもらう事にした、空腹でなければ先に自身で探し回る所だ。 『ああ、お嬢様のご友人の方ですか、食堂でしたら右の通路を奥に行った先に在りますよ』 『分かりました、ありがとうございます』 愛想良く食堂の場所を教えてくれた、従業員さんにお礼を言って、教えて貰った通り右側の通路へ向かう。 『なるほど』 このホテルの一階は「凹」となっていて、二階から「[=]」になっているらしい、後で反対側…つまり左側の通路の先が何なのか、見に行ってみる事にしよう、とにかく今はご飯だご飯! そして俺は右の通路の突き当たりにある食堂に到着した。 『食堂…ね、こんなに立派な、レストランみたいな場所か;』 どこぞの社長が食事に来るような内装だ、きっとテーブルマナーとかもきっちりしているに違いない…こんな店のマナーなんて知らないし、何より俺みたいな地味な一般人には馴染めない雰囲気だ、俺はしばし入口の前で立ち尽くしていたが、身を翻してホテルの外で食堂を探そうと思った、が。 『お客様、どうされました?当店はお気に召しませんか?』 と、これまた愛想の良い店の人が通路に顔を出して、俺を引き止めた。 確かに入口まで来てUターンするのを見れば、店側の人にしてみれば不愉快に違いない、俺は苦笑い+申し訳ない顔をしながら、返事を返す事にした。 『いえ、とても立派なお店だと思います、ただ俺は、マナーとかがサッパリでして、他の人達がせっかく美味しく食事しているのを邪魔してしまうのは悪いと思ったんです、お店の方には不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした』
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