ホテルとスキー…

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『上手いな~、このトースト』 俺は注文したトーストセットの、ほど良く焼けたトーストを食べて、そう感想を1人寂しく呟いた。 俺は店内に入ると、とりあえずカウンターに座る事にした、なかなかに繁盛しているようで、店内のテーブルは殆どがお客さんで埋まっていた為、カウンターくらいしか空いてなかったのもある。 カウンターに座った俺は、何があるかと注文表を見る、実に色々な料理の名前が並んでいたが、俺が注文したのは無難かつ、食べやすいトーストセット。 注文してからしばらくして、俺の目の前に出されたトーストは、分厚くて食べごたえが十分なもの、普通のトーストの幅が1センチだとしたら、これは3~4センチはあるだろう、食べると暖かいバターが舌にトロリと流れ落ちて味が口に染み渡る、しかもトースト自体もバランスよく焼きあがっており、カリカリして非常に美味い。 一人でうまうまと、トーストを食べていた俺は、ふと席を一つ挟んだ先の椅子に座る男が、コーヒーを飲みながら目の前に変わったカードを並べているのに気が付いた。 (…あの絵柄は………タロットか?) 並べてあるカードの中には、まだ伏せられたのもある、しかしめくられているカードには、何となく見覚えがある柄の絵が描かれており、それでタロットだと思ったのだが…そのカードは、明らかに普通のタロットとは異なっている。
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