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何故ならば、そのタロットの長さが普通じゃない、市販されているタロットはトランプとほぼ同じサイズだが、男が目の前に並べているカードは縦長で、タロットを縦に二枚分くっつけたような長さなのだ、それに絵やカードの縁などが黄ばんでおり、古い物だと言うのが分かる。
気になってカードをジッと見ていると、その男が俺の視線に気が付いて、話かけてきた。
『こんにちは、君、このカードが気になるのかい?』
『え…ええ、変わったカードだなと、思いまして』
『だろう?これは僕が外国に旅行へ行った時に、骨董屋で見つけたタロットカードなんだ…君もタロットの名前くらい、聞いた事はあるよね?』
『まあ、有名な占い用のカードなので名前くらいは』
『うん、これは日本で多く出回っているタロットとは違い、本物のジプシーが占いに使っていたとされる物でね、実際、不思議なくらい的中するんだよ』
的中率が高い異国のタロットか…自作されたものかは分からないが、本当にジプシーによって占いに使われていたならば、聖別された「本物」と言う事になるだろう。
『比較的にタロットは、的中精度の高い占い道具とは聞きますけど…ことさら的中するとなると、まさに本物って感じですよね』
『そう、これは君の言う通り「本物」だと思う、僕は不思議な物が好きで、今までに幾つかタロットカードを買ったんだけど、これに比べたら玩具に見えてくる』
そう言って、伏せられたカードの束に手を置いた、聖別されたタロットと、ただの市販品タロットとでは、魔術品としての根本的なレベルが段違いだ、まして本物のジプシーに何度も使用されて、半端じゃなく強い霊力が宿っているのだろうし。
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