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『むう、さすがに腹が一杯になったな』
あれから食堂で長々と隣に座っていた男の人と、外国の話や不思議な体験、またタロットカードに関して話をしていた、店に入ったのは昼頃だったのに、既に夕方の3時を過ぎていた…
『3時間近くもあそこに居座ってたんかい…さすがに喋り疲れた』
まさか旅行先で名前も知らない相手と、こんなに語り合うとはな…
『にしてもマズいな;もしかしたら霧島さん、帰って来てるかもしれない』
時折質問を交えながら話を聞くのに夢中になり、時間を全然気にしていなかった、部屋は鍵を閉めてきたので、帰っても部屋に入れない、もちろんホテルの一階にあるカウンターまで行けば、予備の鍵はあるだろうけど、もし帰っていたら、さすがの霧島さんも怒ってるかもしれない。
『左側の通路を見るのは後回しだな、一度部屋に戻ろう』
俺はエレベーターの前に到着すると、上矢印のボタンを押して待つ。
ポーン♪
チャイムが鳴ってエレベーターの扉が開く、俺は素早く乗り込んで扉を閉めると、さして意味も無く微妙に焦りながら五階のボタンを押した。
『はあ…』
俺は無意識の内に溜め息をついていた、もし霧島さんが部屋に帰っていて、怒っていたら何て謝罪しようかとか考えると、なんとなく更に疲れてきてしまう。
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