ホテルとスキー…

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俺は椅子に座ると、二振りのアサメイ、2つのリング、幾つかのアメジストボールとマジックアローを並べる。 特に手入れと言っても特別な事では無い、部屋にある清潔な手拭いで、それぞれの道具の埃を拭き取るだけ。 ホテルでは儀式魔術など出来ない、…いや、出来るのだが、いつ霧島さんが戻るか分からないし、万一にも雲野も一緒に部屋に来たら言い訳が厳しい…かなり厳し過ぎる; なので、無難に拭き掃除と言う訳だが、それに意味が全く無いとも言えない、そもそも魔術武器とは「使い手の願望を、物理的な物として存在させている魔術」だ、つまり使い手の願望や望む力が込められた品、それらが付与、付加された「魔術」である、よって放置すれば弱り、逆に手を付けたり、手入れをしたり…または実際に使用する事によって錬磨されてゆく、唯一の欠点は内包された霊力が消耗する点だろう、でも魔術に使えば霊力が消耗する一方で、魔術品としてのレベルが高くなってゆくのだ。 今、目の前に並べている品々の中でも、言うまでもなく二振りのアサメイは格が違う。 錬磨度も経過してきた使用回数も、他の品々とは比べものにならない、消耗しては霊力を注ぎ込むのを、繰り返して何年も鍛え上げてきた。
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