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『と、まあそんな訳で、回路が乏しい俺達には、天候操作なんて夢物語と同じ次元の魔術と言う事』
『なるほど、なるほど』
霧島さんは俺の長い説明に嫌な顔もせず、真面目に聞いていた。
『ところで木村君「回路」って何?』
今更そこを質問ですか!?霧島さん…;;
『「回路」ってのは霊感のスイッチだ、いくら優秀な霊能者だって、常に色々な霊を感じていたら、神経が参るだろう?だから普段は「回路」を閉じて霊に対する感度を下げてると言う訳だ』
もっとも「完全」に閉ざすと開かなくなる可能性もある、だから「感度を下げる」のが正確な表現であろう。
『霊感…そっか、私や木村君には厳しいよね』
『そう言う事、ドイルドが使う魔術は、霊感力が必要なものばかり、回路が乏しい人間が用いるのには不適当な系統だな』
『でもじゃあ…私達は回路を使ってないんですか?』
『使ってないんじゃない、乏しいから使ってても自覚は無いし、何も感じないんだ、ただし、先ほどにも説明したが、俺達が使う儀式魔術は回路を殆ど使わない』
「儀式魔術」は霊感と言うより、自らの意志を儀式によりコントロールして、無意識の内側から力を呼ぶ、この点で言えば自身の「影」たる「別々に異なる意識」に干渉しているとも言える。
人間の魂は四つの魂によって構成されているように、自身の意識内にもコントロールが出来ない、無意識の領域に属する異なる意識がある、そこに儀式によって意図的に望んだ意志の力を汲み取る形になる、だからこそ自らの意志を扱う鍛錬をしなければ、予測していないトラブルが起きたりするし、意図とは異なる結果が現れたりする。
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