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『ううん…自身が回路になるとか、ならないって言うのがイマイチ良くわからないんだけど』
霧島さんは首を傾げながら疑問を口にした。
『つまり霊感を使い、自らを「自身の外」に居る霊的な存在と繋いで、相手と会話したり、交渉したりする方法が「回路になる」で、そう言った感覚を使わず「自身の内」から精神、意識の世界へ干渉して力を引っ張り出すのが…「回路にならない」だ』
『…ええっと…』
まだ理解できないらしい。
『霊感力で幽霊と相対すると言うのは、自身が霊の媒体になっていると言う事だ、霊と会話してる時点で既に相手と繋がってるんだから、自分が「回路」となっている…ここまではOK?』
『うん、分かるよ』
霧島さんが頷いたのを見て、話を続ける。
『一方で霊感力じゃなく、自身の無意識から力を引っ張り出している儀式魔術は、外部からの力…すなわち霊的存在を呼んでいるんじゃなく、自身の望んだ「意志の力」を自己の内側より呼んでいる、つまり外部からの力を受けて通す「回路にならない」訳だ』
『ふむふむ…あれ?でもそうなると「召喚」や「喚起」は「回路」を使わないと、殆どまともに使えないって事になるんじゃないですか?』
『まあね』
確かに「喚起」や「召喚」は霊的存在を精神世界から呼ぶ魔術、霊感を持たない人間では成り立たない系統と言えばそうなる、何故なら「呼ぶ」ならば魔術式を知っていて、成功させれば可能な範疇だが、交渉、会話が出来ないとなると、呼び出した霊的存在との協力は難しい、となれば一方的に呼び出して命令するしかない、故に普通の魔術師は「魔術剣」や「アサメイ」または「シジル(悪魔の紋章)」を用いて、相手に強制させるのである、ちなみに「シジル」はそこに描かれた紋章の悪魔にのみ有効で、彼等に対する命令権を持つ証であり、悪魔の力が宿る護符ともなる。
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