31人が本棚に入れています
本棚に追加
俺ァ…バナナが好きだ。
特にお前のバナナが一番──
ゴホッ!ぐはァアッ!
…と、失礼。
銀と出逢ってからというもの、俺の頭ん中はあいつでいっぱいだ。
いっぱいってか、もう支配されてる勢いなんだろう。
今もこうして巡回の合間をぬって万事屋の看板を見上げ、あいつが居るのかどうか様子をうかがっているのだ。
しかし、待てど待てどあいつは出て来ない。
もしかして本当に居ないのか?
何処に行った?銀…。
ガラガラ…ピシャッ
「!!…銀時!」
「んぁ?」
思わず叫んでしまえば、銀はこちらを見るなりぽかんとしている。
無理もない、だって今日は仕事で会えねぇって言ったのは俺の方で…言ったそいつが今まさにここに来て名前を呼ぶのだから。
だけどほら、あいつ思わぬサプライズがよほど嬉しいんだな…満面の笑み浮かべて駆け下りて来てやがる。
可愛い奴め!!
さぁおいで~……ッぐふォアァッ!!!
「銀と……!?;」
「なんだよお前、なんでこんなとこにいんの?仕事は?…まさか俺が気になって仕方なくて来ちまったとかないよなァ?旦那ってーのはなァ、家庭の為になりふりかまわず一生懸命働いて、家族を養っていくもんだろーが」
「ぁ……え…?;」
「わかったか?さっさと働いて来いや」
「銀と……お前機嫌悪…」
あまりに疑わしい態度と状況にひどく動揺した俺は相手に手を伸ばすがヒラリかわされて、
「あと帰りにイチゴ牛乳買ってきてね」
そう吐き捨てどっか行ってしまった。
こんな事を言われても、あいつを嫌いにならないのは夫婦である義務感からなのか、はたまた心の底から愛しているからなのか──
まぁどちらにしても、俺にとってはなくてはならない存在なのだから。
──愛してんよ、俺の不器用なお嫁さん───
最初のコメントを投稿しよう!