一枝と手紙

2/2
前へ
/88ページ
次へ
 塾が終わって部屋に戻ってみると、机に一枝の桜が生けてあった。  直ぐ側には見慣れた文字で「お疲れ様」と。  御礼を言うのは私の方なのに、いつも彼女に先を越されてしまう。  小さく微笑んで、大切にその手紙をしまった。  直後に、彼女が現れる。 「山南さん、美味しいお饅頭をいただいたので、一緒に戴きましょう?」  疲れているときは甘い物がいいんですよ、と。  こうして何時も君と過ごす時間が、いつまでも、いつまでも続けばいいと願った。 ――了
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加