正義の童帝王

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「どーてーかどーか聞いてんのよ!」   「そ、そそ、そん、そそそ、そん、そんなことき、きいてどうすん……」   「あんた、童貞を護る気ない?」   「へ?」   帝は驚きまくった。   まさかこんな少女から童貞を護るお誘いがくるなんて。   「……あ、名前を言うのを忘れていたわね」   帝は(そこじゃない)と思ったが、口に出す勇気は無かった。   「私は『汰処 女亜(たどころ めあ)』。ある組織のある役職についているけど……それを教えるかどうかはあんた次第」   「……」   帝はぼけーっとした顔をした。   今の状態なら、大体の人間がそうなるであろう。   「んで、あんたは童貞?」   「童貞……です……」   「童貞を護る気はある?」   「あ、ある。あります。だって   「『だって俺には媛がいるんだから』かしら?」   女亜は帝の言葉を遮って言った。   帝は、図星だったので苦虫をかみつぶしたような顔をした。   「図星か。今人気だもんね《しゅうかつっ!》。そーんなことより!あんた名前は?」   「仙童 帝ですけど……」   「よーし帝君。あれ、見える?」   「え?」   女亜が指を指した方には、多数の触手を携えた、四足獣型のロボットと思しき物体がいた。 「な、なんだんだれ!?」 「『なんだんだあれ』って言いたいの?」 女亜の問いに、帝はコクンと頷いた。 「あれは『ヤルィマーン帝国』の戦闘ロボ。世界中の童貞を奪おうと、日々進行している最悪の帝国のロボよ」 「そんな馬鹿げた帝国が……!」 「何言ってんの!この時代、童貞はとても貴重なんだから!とにかく私に掴まりなさい!」 「え、ちょ」 「早く!」 女亜に右腕を掴まれ、強引に女亜の左二の腕を掴ませられた。 服越しではあるが、女性の柔らかさを肌で感じ、帝は少し興奮した。 「行くよ。『テレポオオォォーテェェーーーィショォンッ』!!」 女亜が叫ぶと、二人の体が光に包まれ、一瞬の内に消え去った。
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