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沖田はきちんと座り直して、深々と頭を下げた。
沖田『沖田総司と申します。さて、次は貴方の番ですよ?』
妙な女は少し考えてから、
『…凰葉、秋や。』
と小さな声で名乗った。
沖田『へぇ、「オウバ」っていうんですね!珍しい姓だなぁ。生まれは京なんですか?』
沖田がにっこり問いかける。
が、凰葉はゆっくり湯呑みを傾けながらまた押し黙ってしまった。
う~ん…難しい人なんだなぁ。どこかの副長さん程じゃぁ無いけどね。クククッ…
と、あれこれ頭を巡らす沖田に、凰葉は初めて自分から話し掛けた。
凰葉『…お前の、幼名はなんや?』
沖田『へ!?』
ガチャンッ!!
突然の言葉に沖田はうろたえた様に、湯呑みを倒してしまった。
凰葉『…そない動揺するような幼名を付けられとったんか?』
沖田『あは、あはは!いえ、そうじゃ無くて、まさか貴方に話し掛けられるとは思わなかったから少し驚いたんですよ!』
と、言いつつ零れたお茶を雑巾で拭き終えると、机上に指で自分の幼名をなぞってみせた。
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