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〔惣・次・郎〕
凰葉は机上の文字をボンヤリ眺めていた。
沖田『私は長男なんですがね、変な名でしょう?まぁ父上の考えは深過ぎて、私なんかにはよく解らないですがね。』
沖田は長椅子をギシギシ軋ませてあははと笑った。
すると凰葉が、机に書いた文字に指を差して語り始めた。
凰葉『惣…コレは総て、統べる、何もかも、いう意味やな。
次…コレは二番手、いう風にも読めるが、宿る、順序よく繋ぐいう意味も有るんや。
郎…まぁ男の意味やな。』
凰葉は机を指で叩きながら、トン、トン、トン…と小気味良い旋律を刻む。
凰葉『ふぅん…アンタは結構、恵まれて育った様やな』
凰葉の言葉に、机を叩く音に…沖田は少し、張っていた気を削がれた気分になった。
まるで凰葉の声は、自分の心底にあるドス黒い闇間を突いて来るような感覚がある…いつの間にか握っていた掌を開くと、少しだけ震えているみたいだ。
沖田『…そんな風に考えた事無かったな…だって私は、』
言いかけると、凰葉がスッと手を掲げて制止させた。
沖田『!?』
凰葉『……う、もう食えへん…』
沖田は口が開いてしまった。この人は全く掴めそうも無い…。
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