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暫くして…
沖田は両手一杯に菓子袋を抱えながら、満足気に祇園の裏道を歩いていた。
ふふふと笑いつつ
(これは誰にあげようかなぁ)
と無邪気に考えていた。
その時…
悲鳴が聞こえた。ぱらぱらと人波が駆けて行く。
沖田『……!?』
少し進むと、一人の女が、二、三人の浪人風情の男に絡まれているのに気が付いた。
男達は女の腕や肩袖を掴み、しきりに怒鳴っている。
しかし、騒いでいるのは野次馬ばかりで、当の女はなされるがまま…と言う感じである。
沖田『酷い奴が居るもんだなぁ。せっかくの美しい京の町が台無しじゃないか。』
と呟くと、腰に手を触れた。
沖田『あ、あれ!?』
刀が無い…?そういえば、屯所から飛び出す時に邪魔になるから、と置いて来たっけな…あぁマズイ!!
ポロリとひとつ、袋が落ちる。
沖田『体術は苦手なんだけどなぁ、ま、仕方が無い…』
と拳を握った。しかし…
浪人が女の襟を振り回した。その瞬間、女は男の腰からシュッと刀を抜くと、目に見えぬ程の速さで男の腹元に突き刺し、そのまま上に斬り上げた。
浪人『…な…に?』
女が背を向けた瞬間、男の上半身は一線の深みが走ると、鈍い音と共に真っ二つに割れていった。
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