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《新選組・屯所》
沖田は自室でゴロゴロしながら考えていた。昨日の一件の事を…
『あの太刀捌きはなんだったのだろう…?』
『あんな流派は見た事も無い。』
『結局、ひとつの菓子も食べられなかったなぁ。』
…………。
『総司、起きてるだろうな?』
不意に障子の外から誰かが声を掛けて来た。
沖田『ふぇ…?!』
ウトウトしていた沖田は慌てて起き上がり、わたわたと身なりを直した。
沖田『も、勿論ですとも!まだ御許しも頂いてませんからね!あはあは…』
沖田は昨日の脱走により、自室謹慎を命じられていたのである。
バン!と勢いよく障子が開かれて、土方歳三が無愛想に入って来た。
土方『チ、開き直ってんじゃねえや…まぁいい。お勤めだ、お前も連れて行こう。』
と言うと、沖田の顔つきがパッと明るくなった。
土方『あぁでもちゃんと商売道具を腰に据えてから…だがな。』
フフンと軽く沖田をからかって、土方は部屋を出て行った。
(…まったく人が悪い)
…と愚痴るものの、外へ出る許可が直々に下りた事の方が沖田にとっては嬉しい。
平袴を佩いて、だんだら染めの隊服をまとい、大小の刀を腰に差したら、大急ぎで土方の後を追った。
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