7人が本棚に入れています
本棚に追加
ガチャッ
「よっ♪起きてるか?」
「また来たのか……。どうした。」
「いや?ただ、遊びに来ただけ♪」
「そうか……。」
私は、ただの人形……。
遊ばれるためだけに造られた。
私を造ったのは、今、私の目の前にいる男だ。
名前は知らない。ただ人形を造る仕事をしているとしか知らない。
「なあ……。そっち行っていい?」
「フッ……どうぞ?」
スタスタスタッ
ドサッ
「今日もまたなんかあったのか?」
「いや……。淋しくなったから来た……。」
「そうか……。」
「また、考えてた……。」
「お前の大切な人の事か?」
「うん……。」
「また話していい?」
「いいよ。おいで?」
ギュッ
この男には、大切な人がいる。いや……大切な人形……だな。
その人形は、コイツと愛し合う度に男の記憶を消す。
そういうプログラムなのだ。
でも男はしっかりと覚えている。
そしてまた出会い、お互いが好きになると記憶が消えるのを知りながら……愛し合う……。
「最後ね……。記憶が消える前、必ずその娘はありがとうって言って泣くんだ……。
そして次に会ったときは、俺を忘れてる。
でも、俺は好きだから……。
また新しい思い出を作るんだ……。」
最初のコメントを投稿しよう!