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?「すいませ~ん」 京の外れに一軒家がある。 その家の前に右往左往している若者がいた。 ?「…いないのかな…」 彼の名は鳥居 太地(トリイタイチ)。 太「ここで合ってるよなー…」 簡易な地図と家を見比べる。 太地は借金を抱えていた。 しかし、働き口が見付からない。 そこで旅人に相談したところ、ここを紹介されたのだ。 太「…どうしよー…」 太地は扉に手をかける。 太「…鍵がかかってない」 暫く迷っていたが、意を決して扉を開けた。 太「おじゃましま~す」 恐る恐る入る。 家の中は少し暗く汚い。 まるで誰も住んでいないようだ。 太「地図が間違ってるのかな…?」 顔をしかめて地図をみる。 そして、家から出ようとした時、 ?「…誰だ」 高い声が響いた。 太「!!??」 太地はビクッと肩を震わせ、声のしたほうを振り向く。 そこには、小さな少女がいた。 地面までつくぐらいの長い黒髪。 まだ十歳くらいかと思われる、小さな背丈。 その身体を包む、無地の質素な着物。 一番印象的な大きく黄色い、猫のような瞳は吊り上げられ、こっちを睨んでいる。
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