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「行かなきゃ」
落としてしまった茶色い紙袋を無心で拾った。無心で石畳を駆けた。いつもなら気鬱な帰り道の景色が、初めて目まぐるしく流れる。
どくどく、痛いくらいに脈打つ鼓動。
そして神秘的な胸元の蒼い魔石が、突き刺すような熱さをイオの全身へと向けている。
そして、ぴたり。止まった。
荒い息遣い。耳が痛いほど逸る音に、少女は不思議そうに小首を傾げる。
何故自分は焦燥に駆られているのか。何処に行かなければならないというのか。
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