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唐突に不安になる。音色が脳髄に刻まれていく反面、焦燥感が消え失せていく。
つ、と白い頬を流れた汗で、澄んだ雪のような色をした髪が張り付く。
「あっ! わわわわっ……!」
ぼと、ぼとぼとぼとっと、イオの胸に抱かれた茶色い紙袋から赤や黄緑といった木の実が地面に落ちた。
イオが走った所為で紙袋に穴が開いてしまったのが原因だ。とろい仕草のイオは慌ててそれらを拾う。
先に紙袋を置くなり穴を塞ぐなりすればいいというのに、あっという間に先に紙袋の中身が空っぽになってしまった。
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