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ゆっくりと歩いていき、右バッターボックスに入った。
一塁側のアルプス席はベンチ入りできなかった部員たちや保護者の方々、それに双風高校の生徒や先生たちが汗を流しながら一生懸命に応援してくれている。
ベンチを見ると一瞬監督と目が合った。
監督の目は少し充血しているように見えた。
俺はピッチャーに向き直った。
ピッチャーの表情には余裕が感じられた。
それもそのはず、相手は甲子園連覇の経験もあり、今回も連覇を目指している強豪校。
連覇に向けてあと一勝、俺たち双風高校にとっては初優勝まであと一勝。
どちらも全国に山ほどある高校を退け、この甲子園の頂まで登ってきた。
負けた高校の為に、そして自分たちの母校の為に、この試合には俺の野球人生の全てがかかっている。
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